eineblumeのブログ

日々感じたことを記していきます

卒業式

1年間教えてきた学生を送り出しました。私が担当したのは、大学院進学希望者のクラスでした。
大学を卒業してきたはずなのに、相変わらず高校生のように学力テストの成績を上げるのに熱心で、せっかく日本に留学していて、日本語を学ぶための学校に来ているのに、それを犠牲にしてまでも学力試験のための対策をする学生がいました。
どんなことをしているのかと思ってみていると、たいていは微積分や線形代数の計算問題で、それほど高度なことを聞いているのかなあと思ってみていました。また、TOEFLTOEICなどの英語の試験対策を日本語の授業の時にする学生もいました。そんなことをして点数が変わるのかなあ、本当の実力を持っていたら、そんなことをしなくても良さそうなものだがなあと思いました。
そうやって内職をしていた学生は、大学院に合格すると、もうやることがなくなるようでした。今の時代、そんなにのんびりできる分野はないと思うんですがね。自分でやりたいことが無いので何をしていいのか分からない。かといって、自分で勝手にやると無駄なことをすることになるかもしれないので、やらないのか? もし無駄なことをしそうだと心配なら、研究指導を引き受けてくれた先生に、その分野で絶対に読んでおかなければならない書物などを聞いてみればいいと思いますが(そして私は授業中にそのように、何度か助言してきたのですが)、なぜか断固としてやろうとしない人がほとんどでしたね。また、学会の大会や研究会に出てみることを勧めていましたが、「行ってきました」と報告してくれた人は皆無でした。このあたりを意識していた学生は、研究生として、あるいは秋入学の新入生として、早めに進学していったのでしょう。せめて日本語のテキストで自分の研究分野と違うことを知ろうとすれば少しは役立ちそうなものだがなあと思っていましたが、研究分野と関係ないことに興味を向けることができない様子でした。
大学院に進学しようとしている学生に言ったことは2つありました。

  1. 自分の関心の範囲を広げること:自分の研究分野の専門の勉強をすることも重要ですが、研究分野は変わりやすくなっていると思うので、研究分野の広げ方や、新しい研究分野への入り方を経験したり、指導してもらったりしておくと良いと思います。また、大学院の教育制度として、こういう指導をすることが準備されているところを選ぶことが大事だと思います
  2. 自分が本当にやりたいことを探すこと:これが意外にはっきりしない人が多かったです。何しに外国まで来たの? と疑問を持ってしまいます。これがないと、楽ではない研究生活は苦痛になってしまうと思います。たぶん、楽にできる研究なんて無いでしょう?