eineblumeのブログ

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『代数と数論の基礎』中島匠一著

3月の下旬からこの本を読み始め、大体半分程度読み終わりました。代数の基礎を確認しながら、忘れていたら身に付けようと思ってこの本を選びました。
この本の著者のまえがきによると、

  1. 予備知識がなくても読めるように、なるべく一から説明することを心がけた
  2. 具体的な例をたくさん挙げるように心がけた
  3. なぜそのような定義をするのか、その定理・命題はどこにありがたみがあるのかを説明することを心がけた
  4. 定理や命題の主張はなるべく簡潔にしかも正確に述べることを心がけた

とある通り、説明を読んでいる時に、これは何を根拠にしているのだろうかと、悩むことはほとんどありませんでした。また、たくさんの例が紹介してあるというのも本当で、他の代数の本よりも多くの例が載せてあると感じています。ある概念が何を言おうとしているのか、つかみやすくなりました。定理、命題、定義などについても、普通の数学の本以上に懇切丁寧に解説してくれていると思います。
`上記の最後の項目に、証明での「数学」自体の記述は冗長にはなっていないとあります。オイラー関数に関する命題(命題1.21)で一つ良く分からなかったところがあったのですが、別の本を読みなおして、その部分は納得しました。
全体的に視て、この著者が主張していることには(少なくとも、半分程度読んだ範囲では)間違いないと思います。私が大学生の頃に、このような「親切な」本があればよかったのになあと思います。代数の本と言えば(代数だけではないかもしれませんが)、簡潔に書かれていて、しかし、何を主張しようとしているのか、よくわからず、途中で興味を失ってしまう場合が多かったなあと思います。

  • title: 代数と数論の基礎
  • series:共立講座 21世紀の数学
  • author: 中島匠一
  • publisher: 共立出版
  • year: 2000
  • pages: 296
  • ISBN: 4-320-01561-4